ピエトロ・チマーラ(伊語:Pietro Cimara、1887年 – 1967年)作曲のストルネッロ:Stornelloという曲があります。
これまた優美な前奏に始まり・・胸がときめくような明るいヴィヴァーチェな流れに乗って、宝石のように美しい言葉が沢山ちりばめられているのです。

作詩のアルナルド・フラテイリ(1888~1965)はウンブリア州で生まれ、ローマで学び、詩人、ジャーナリスト、文芸評論家としても活躍した人物です。

ストルネッロとは14世紀にイタリア中部で誕生したABAB韻形式などの一定の規則で作られた詩の事で、日本の俳句のように必ず、花などの植物の季語が含まれますが20世紀には諸規則から解放されその詩形は様々なものとなっています。

声楽の勉強も上級編へと進み、イタリア近代歌曲に取り組む場合、詩の題材を読み解く力も格段に高く要求されてきます。詩を歌い、表現していくために、言葉の持つ微妙なニュアンスを深く感じ取れるまで、ご一緒に勉強してみませんか?

「難しい!」が「面白い!」と思うまで、サポート致します!www.piacevoleitalia.com

きっと、歌うことがより充実し、楽しみへや喜びに変わっていくでしょう。





Stornello



Son come  i chicchi  della  melograna

それらは〜のようだ (単数)chicco:粒 di〜の +la   ザクロ

それらは(あなたの唇は)ザクロの(小さな)実の様だ

vellutati  e  vermigli i labbri tuoi,

ベルベット  そして  朱色     唇   あなたの

あなたの唇は ベルベット(の様で)そして 朱色

gareggiar  colla   fragola montana

Gareggiare=競う  con〜と共に+la  苺    山

山いちごと 競うことが

pel profumo  dell’alito   tu  puoi.

Per〜の為に+il  香り    di〜の+ l’alito:息  あなたは できる

(その)息の香り の為(ゆえ)に(競うことが)あなたには出来る

Come  le piante  che  gemme  odorate

〜のようだ  植物:木(複)(接)   芽     良い香りの 

良い香りの芽の木のように

  distillano       dal  tronco  e  dalla chioma,

distillare=滴る、蒸留する(3人称複数)da〜から +il 木の幹 そして da +la 木の葉

木の幹や葉から滴る

tu   stilli   dalle   tue  labbra rosate

あなたは  滴下する da 〜から+le あなたの   唇   バラ色の

あなたはバラ色の唇から滴下する

baci  che  sono    del   tuo  cor l’aroma.

口づけを (接)(それらは)〜である di 〜の+il あなたの 心 (いい)香りの

良い香りがする心の口づけを

訳)あなたの柔らかい朱色の唇はザクロの実のよう・あなたはその息の香りで野イチゴと競うことができる・香しい匂いを漂わす木の芽のように・あなたはバラ色の唇から心の香気である口づけをする

Fammi      nutrir di baci  si  soavi

fare 〜する+mi私に(願望) 養う 〜で 口づけ così=このような 優美な(デリケートな)

優美な口づけで養っておくれ

come       si     nutre  di  rugiada il fiore:

〜のように(それを)する 再帰動詞nutrirsi  養う  の   露      花

花の露が (花を)養う様に

baciami       sempre   come  mi baciavi

baciare 口づけする+mi私に(願望) 常に    〜のように 私に 口づけする(半過去形)

私に口づけてください 常に 私に(あなたが)口づけていた様に

la prima volta che  ti   strinsi  al core!

初めて       (接)あなたを 抱きしめる a〜に+il  胸

初めてあなたを(この)胸に抱きしめた(時の)様に

Se  tu    fossi          rugiada le tue  stille

もしも あなたが  essere〜である の接続法半過去(想像) 露    あなたの  滴

もしもあなたが 露の滴だったら

di vita altrici    negheresti  al fior?

〜の生命 育むもの(は)  拒む       a〜を+il  花

(その)生命を育むものが 花を拒む だろうか?

Baciami  dunque,  e   fa     nove scintille  

私に口づけて だから(こそ) そして fare〜する(希望) 新しい  火花(を起こす)

だからこそ 口づけして(欲しい) そして新しい火花を起こして

arder   di  vita  in   quest’arido cor!

ardere=燃やす 〜の  人生 〜のうちに この arido 乾いた 心

この乾いた心のうちに 生きる情熱を(与えてください) !

訳)花が露で潤うようにあなたの優しい口づけで私を養っておくれ・初めてあなたをこの胸に抱きしめた時に私にしたように、常に口づけておくれ!
もしも、あなたが露ならば、花を養うことを拒むだろうか?
だからこそ私に口づけを・・そして新しい火花をつけて欲しい・この乾いた心に生きる情熱を与えて欲しい!


マエストロ ベレンゴとのレッスン
Posted by Piacevole italia at 18:24
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プロフィール
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指導者 Montoro Noriko:モントロ典子(ソプラノ)

プロフィール

東京芸術大学声楽科卒業。同大学院オペラ科修了。学部卒業時、アカンサス音楽賞受賞。第42期二期会オペラ研修所マスタークラス、優秀賞にて修了。

2003年度、文化庁新進芸術家国内研修員として“舞台表現”について研究。2004年より、ロータリー財団奨学生として渡伊。ミラノ音楽院及びミラノ市立音楽学校に
学ぶ。

2005年より、ヴェネツィアを中心にヴォルフ=フェラーリ室内楽団の歌手として、ヴェネツィア・フェニーチェ劇場、カ・フォスカリ サンタ・マルゲリータ劇場をはじめ、ヴェネツィア最大の国際芸術祭第38回ビエンナーレ・ヴェネツィアへ出演。
またOpera in concerto室内楽団とはヴェローナやバルドリーナなど、北イタリアを中心に演奏会に出演。
テノール歌手マックス・ルネ・コゾッティとは多数共演した。

オペラでは「椿姫」ヴィオレッタ、「ボエーム」ムゼッタ、「ドン・ジョヴァンニ」ドンナ・エルヴィラ、ドンナ・アンナ、「ジャンニ・スキッキ」ラウレッタ、「フィガロの結婚」伯爵夫人「こうもり」ロザリンで役等で出演した。

宗教曲では「メサイア」(ヘンデル)「スタバートマーテル」(ロッシーニ)(ペルゴレージ)のソリストをつとめた他、フランスのリュリなどの古楽演奏会にも出演。

 Pantakin Venezia主催のスペッターコロ、演出家マルチェッロ・キアレンツァと作曲家チャールド・カペッリによる「Notte Bianca」ローマ公演、「Tesoro」スペイン・マドリッド公演、サルデーニャ島カリアリ公演、「Creatore」ペスカーラ公演に、キューバやアフリカのアクロバットチームや俳優たちと一緒にヴォーカルと演技で共演し好評を得た。

日本では、新日本フィルハーモニー交響楽団(指揮 小松長生)との共演はじめ、二期会新進声楽家の夕べや東京文化会館新進音楽家コンサートなど数多くのコンサートに出演。

声楽を高 丈二、マルチェッラ・レアーレ、ルチアーノ・ベレンゴ、マウリツィオ・カルネッリ、マウリツィオ・クロヴェッティの諸氏に、又、アルテ・シェニカをマルチェッラ・レアーレ、演技指導を演出家 篠崎 光正、ロシア歌曲を山下健二の諸氏に師事。

日本声楽家協会アカデミー会員。元二期会会員。